プロフェッショナルマネジャー

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かつての巨大コングロマリット米ITTの社長兼CEO(最高経営責任者)として58四半期連続増益を遂げたハロルド・ジェニーン氏の経営論。1985年刊行のものを復刊した。経営の教科書にしている柳井正ファーストリテイリング会長兼CEOが解説を加える。(Amazon.co.jpより)

先日、NHKスペシャル「成長か、死か~ユニクロ 40億人市場への賭け~」を見ていたのですが、柳井社長が経営の教科書として推薦されていたので、興味を持って読み進めてみました。

著者のハロルド・ジェニーン氏を知らなかったので調べてみたのですが、1959年にITTの社長に就任すると“14年半連続増益”という当時のアメリカ企業史上空前の記録を打ち立てた方だそうです。そして、17年間の在任中には積極的に企業の買収・合併を行い、世界80ヶ国に350社に及ぶコングロマリット(複合企業)をつくり上げた伝説の経営者でした。

さっそく読後の感想ですが、著者の人生を振り返る自叙伝でもあり、経営哲学書でもあります。ボリュームがある内容かつ、著者の経営思考を理解しながら読んだので、結構なエネルギーを費やしました。以下に目次をご紹介。

 

はじめに 「これが私の最高の教科書だ」柳井正

第01章 経営に関するセオリーG

第02章 経営の秘訣

第03章 経験と金銭的報酬

第04章 二つの組織

第05章 経営者の条件

第06章 リーダーシップ

第07章 エグゼクティブの机

第08章 最悪の病ーエゴチスム

第09章 数字が意味するもの

第10章 買収と成長

第11章 企業家精神

第12章 取締役会

第13章 気になることー結びとして

第14章 やろう!

付録 「創意」と「結果」7つの法則 柳井正

 

目次を見ても分かる通り、本著は大企業(もしくは目指している)経営者に向けた指南書なのですが、中小企業の経営者も参考になる部分は随所にあったと思います。また、ハロルド・ジェニーン氏が貧しい家に生まれてから、どのような方法でステップアップし、ITTという巨大企業を発展させたのかという内容は、物語としても非常にオモシロかったです。驚いたのは、1985年に刊行されたにも関わらず、現在のビジネスシーンとほとんど変わっていなかったこと。手段やツールが進化しても、経営の原理原則は普遍なんだと実感できます。

そして、一番のクライマックスは、柳井社長が書き下ろした「創意」と「結果」7つの法則。本著を推薦するだけではなく、どのように落とし込んで、自分の経営に活かしてきたのかが、7つの法則に基づいてしっかり書かれています。個人的にはこの付録を読んだだけでも、購入する価値があると思います。それぐらい読み応え十分だったし、経営に対する経験や哲学を出し惜しみせず、解説されてたことに感激しました。興味のある方は、この7つの法則だけでもぜひ読んでみてください。